競艇場にいる予想屋の実態に迫る!現地取材・予想を実際に購入して検証してみた

競艇場 予想屋 競艇予想屋

競艇場を訪れると、舟券売り場周辺の通路にズラリと立ち並ぶ露店のような趣。
一段高くなったお立ち台のような場所から、何やら小さく折りたたまれた紙をコインと引き換えに渡す男たち……彼らは一体何者なんだ?

そんな気になる男たちの実態について、徹底的に追跡調査してみました。

プロ中のプロ「競艇予想屋」

公営競技=ギャンブルを楽しまれる方の最終的な目的は「お金を増やす」ことだと思われます。
もちろん、迫力あるスポーツとして観戦したり、贔屓の選手を応援する楽しみだってありますが、大半の方が着順を当てて「投資したお金以上のリターンを得たい」というのが本音のはず……。

そんな勝ちにこだわるファンの強い味方ともいえる存在が「競艇予想屋」と呼ばれる人たちです。

彼らはレースの開催が行われる間ずっと本場に立ち、来る日も来る日も目の前のレースの展開を予想し、着順を当てることだけに集中している、まさに「プロ中のプロ」と言っても過言ではない「予想屋」なんですが、「どんなシステムなのか?」、「本当に勝てるのか?」など慣れない方にとっては少々とっつきにくい存在なのも事実でしょう。

そこで当記事では、実際のレース場に立つ「競艇場 予想屋」について調査・検証を行ってみましたので、是非最後までご覧いただき、みなさまの勝利にお役立てください。

競艇予想屋とは?

公営競技として国から認められたギャンブルのうち、JRAが主催する中央競馬以外の競輪、オートレース、地方競馬、そして競艇では、本場を訪れられたファンへのサービスの一環として、レースの展開や展望を語り、最終的に着順予想を記した紙を販売する公認の予想屋が認められています。

競艇の場合は、全国に24ヶ所あるレース場の運営主体である「施行者」(主に地方自治体で、他に3セク団体などが存在します)から許可を得たものだけが、競艇場内で公式に予想販売を行うことができます。

彼らは個人事業主として、多くの場合は「屋号」を掲げたわずか1坪程度の売り場スペース(場立ちと呼ばれる)で、レースの展望や展開の方向性など、最終的な着順を明かすことなく予想の概略を語ってくれます。

最終的な着順が知りたければ、コインを差し出しさえすれば、すっと、小さく折りたたまれた紙を手渡してくれ、そこには買い目が記されているという仕組みになります。

情報代としての金額は基本1レース100円と、来場者へのファンサービスの一環でもあるために格安な料金設定となっています。ちなみにこの価格は事業主である予想屋のオーナーが独断で変更することは出来きず、各レース場に所属する「予想屋」さんたちで構成された組合での決議が必要になっています。

また、昭和40年代から値段が変わっていない点も、この物価高の世の中でありがたい存在なのですが、数年前には200円に値上げを敢行してみたところ、全く売れなくなってしまい、結局元の価格に戻されたつらい過去もおありになるようです。

予想スタイル

昨今注目を浴びるネット上で活躍されている予想屋たちには様々なスタイルがあり、例えば「荒れるレースで穴狙い」や、「鉄板レースで手堅く当てる」などがわかりやすい一例だと思います。

また、予想の根拠をデータの分析から導く方や、モーターや近況の好不調など選手の能力を重視するタイプと様々な方がいらっしゃいます。

本場の予想屋たちも、もちろん得手不得手として「穴党」「本命党」「中穴党」などを謳われたり、データを重要視する方も、長年の経験からくる直感を大事にされる方と、その予想スタイルは多岐にわたります。

ネットを主戦場とする予想屋との最大の違いは、対象となるレース場の全レースで予想を行うことが求められること。
そのため、予想スタイルとなる展開の組み立てには、当地を知り尽くした彼らならではの天候や風、潮目などを意識しながら、直前の展示をチェックするいわゆる「目展示」を重視される方が多いようでした。

予想屋の強み

本場予想屋の強みは何といっても、当地のレースを何万回とみてきたことによる経験則ではないでしょうか?

何万回と聞いて「そんな極端な」と思われる方も多いかもしれませんが、決して比喩で使ったわけでもなく、1節を平均5日間として、月2回開催で年間1,440レースにも上ります。
そして、予想屋さんの多くが「この道何十年!」のベテランばかりとあっては、本当に何万回ものレースを見続けてきているというわけなんです。

何万回ものレースを見ることで得られた経験から導き出される「必勝買い目」は、本場予想屋さんならではの強みだと言えるでしょう。

予想屋の7つ道具ご紹介

そんな本場予想屋さんたちの多くが「目展示」を大切にしていることは既に述べた通りですが、展示をチェックする際に使っている、一般の方では持つことのできないユニークな道具をご紹介いたします。

スマートフォンを一回り大きくしたくらいのこの道具は、「TOP TURN」と言って、6艇のタイムを同時に図ることができる計測機械です。

競艇の展示では、予想の参考になるようにと、場内に設置されたセンサーによって、バックストレッチ側の一定区間の走行タイムを「展示タイム」として開示してくれますが、ホーム側の直線や、スタート起しのタイミングからスタートラインまで、ターン周りのタイムなど任意の場所のタイムを計測するのに使われています。

現在では多くの競艇場が「オリジナル展示タイム」と銘打って、色々な場所のタイムを掲示してくれていますが、そのはるか昔から本場予想屋さんたちは道具を工夫してモーター全体の調子をチェックされていました。

ちなみに昔は市販のストップウォッチを建具屋さんに依頼して、それぞれ独自で一括制御できるボードを作成されていたようです。
現在は、画像の商品が専用品として、競艇映像の放映権を一手に受け持つJLC(ジャパンレジャーチャンネル)によって販売されています。

展開予想ボードとして、場立ちの後ろに大きな数字が表示できるようになっています。

レース前には、ボート型のマグネットを使った進入予想や、1マークでの展開を説明するのに使われていたり、舟券購入締め切り後には画像のように販売された予想の買い目を掲示したりと様々な使われ方をしています。

少し前までは、大きな筆を使って、白い紙に墨と赤インクで直接書いていたのですが、近年レース場の施設がリニューアルされたことで、「床が汚れるから墨汁禁止!」とお達しが出たようで、現在のマグネット方式に変更されたようです。

あとは公認された予想屋であることを証明する「営業許可証」が、運営主体の自治体首長(市長など)により発行されていて、とても誇らしそうに輝いていました。

実際に予想を購入してみた!

最も肝心な予想の精度は如何ほどなのか? と、取材時に訪れた三重県は津市のボートレース津で、現在唯一営業されている「横綱」さんにお話を伺いながら、予想を購入して検証してみました。

この日はGⅡ全国ボートレース甲子園の初日と言うこともあって、平日にもかかわらず多くのファンでにぎわっていました。

どのレースも初日の予想が最も難しく、本場予想屋としての力量を試すのには良いタイミングかと思われます。

いきなり100円を無言で差し出しても、すっと小さく折りたたまれた紙を手渡してくれますが、折角なので無料で展開や読み、考え方を伺うためにも勇気を出して声をかけてみることにします。

筆者「こんにちは。今日は当たってますか?」

予想屋さん「うーん、初日で天気も悪く風も不安定なんでスリットの予測が難しくてダメだね」

筆者「次のレースどうですかね?」

予想屋さん「展示を見た感じではセンターが先攻めして展開作りそうやわ」

筆者「と言うことは3号艇頭とか?」

この辺で、予想屋さんは「にやり」としてお答えにはならなかったので、100円を差し出してみることに。

手渡された小さな紙には、3-1-4、3-4-1と2点が記されていました。

筆者「点数少ないんですね」
とたずねてみると、

予想屋さん「出来るだけ絞って、その予想にお客さんなりの考え方を足してほしいと思ってる」
と、はにかみながらお答えになられました。

と言うことで、早速指定された買い目を購入し、レースの本番を見守ることにします。

結果は、残念ながら3-2-1で的中ならず……。

とは言え、センター攻めの読みは見事に的中。
4号艇が3の攻めに乗ったものの、ひき波にハマってずるずると後退したのと、3号艇に鼻先を叩かれながらも小回りターンでうまく凌いだ2号艇が2着に入る結果となりました。

イン側決着にも関わらず、10,370円と万舟の高配当だったので悔しさひとしおでした。

予想屋さんのところに戻り、

「惜しかったですね」と声をかけると、恥ずかしそうに頭を下げて申し訳なさそうにされていたのがとても印象的でした。

この1レースだけで技量をはかり知ることは困難ですが、展示を見る目が確かなことはうかがい知ることができました。

後日談ですが、こちらの予想屋さんはX(旧Twitter)でも買い目をたまにつぶやかれていらっしゃるので、全国ボートレース甲子園最終日の投稿から的中率や回収率をチェックしてみました。

提供された買い目を1点1,000円で購入したとして計算しています。

提供レース数的中レース数的中率投資額回収額回収率
12216.6%49,200円23,100円47%
X(旧Twitter)なので情報提供代は無料ですが、本場で予想を買った想定で1レースにつき100円を投資額に含んでいます。

と、集計したところ残念な結果となりました。

ただし、1レースずつ詳細を見てみると、1レースにつき4点の買い目指定だったのですが、多くのレースで3着抜けや、裏目(2、3着の入れ替わり)が見られ、予想の精度としてはかなり信頼がおける、さすが本場に根付いているだけあるなぁ……と言うのが正直な感想でした。

ご本人もおっしゃっておられたように、購入した買い目にご自身でオッズと相談したうえで、買い目を追加すると面白い結果になるかもしれません。

競艇予想屋まとめ

今回は、ボートレース津で営業されているお一人だけしか検証することができませんでしたが、やはりその場に特化しているだけあって、見立てはかなり信頼できるのではないかと思われました。

また昭和の時代から連綿と続く歴史的な職業として、競艇ファンならば一度は体験してみるのが良いのではないかと思います。

こんな人におススメ

本場予想屋は競艇初心者の方はもちろんですが、ご自身で予想のスタイルを確立された上級者の方にも、予想のスキルを高める良いキッカケになるのではないでしょうか?

ご自身と似たスタイルの予想屋や、全くアプローチ方法の異なる考え方の予想屋など、より多くの専門的知識を持った方々と接することは、必ず勝利への一助になる事だと思います。

競艇予想屋活用法

まずは、どんどんこちらから話しかけてみる。

予想屋さんもタイプがおありになることだと思われますので、不愛想な方でロクに相手をしてもらえないケースもあり得ると思いますが、基本的にはみなさんお話好き、しかも競艇の話なら目を輝かせてお答えいただけるハズです。

お話を伺うのにお金を請求されたりはしませんので、色々と疑問に思ってることや、次のレースの持論をぶつけて反応を見てみるのも予想に役立つと思います。

ただし、いつまでも100円を支払うことなく話し続けると嫌な顔されますので、そこは節度を持って良好なコミュニケーションを築いてみてください。

そして、見事的中した際は、是非予想屋さんと一緒に喜びを分かち合いましょう!

コメント